イラスト向上のための読書3

こちらは、以前書いた「小説を書いたら絵が上手くなった話」の派生記事です。
読書により読解力を上げることでイラスト技術の研鑽につながること、また個人的な趣味をふんだんに混ぜて、最近読んだ本のご紹介をしています。

普段とは見方の違うイラストの練習法として、よければご参考ください。
(ネタバレが多く含まれるのでご注意ください)

【あきない世傳金と銀】
著:高田 郁

かの有名な時代小説、みをつくし料理帖を書かれた作者様の次作です。シリーズもので、現在は11巻まで刊行されています。
みをつくし料理帖が好きだったので、次作が出た瞬間「これは面白いだろうな」と思い、さらに一気読みがしたいがためにある程度巻数が出そろうまで読むのを控えてました。今ようやく手につけて読みまくっています。睨んだ通りとても話が面白い。

比較的裕福な学者の家に産まれ、優秀な父と兄、働き者の母と可愛い妹に囲まれながら幸せに暮らしていた主人公の幸ですが、ある日突然家族を襲った不幸により父と兄を奪われ、また、自らも家族と離れ、ひとり商家に奉公(働き)に出ることになります。

奉公始めは、慣れない環境や離れた家族への想いに振り回されますが、利発で勤勉な幸は段々と奉公先に慣れ、また、我慢強い幸に感心したり呆れたりした周りの人も(一部を除いて)幸への対応が柔らかくなっていきます。

幸が奉公先に大分なじんだ頃合い。勤め先の商家を営む商人一家の若い主人が結婚し、嫁をもらいます。しかし、この若い主人は結婚前から難があり、この難が商家に不穏を呼び寄せ……。といった風に話が始まり、進んでいきます。

一巻を読み終わってからすぐ思ったのは、切り上げ方が上手い。です。
幸がこの先どんな風になってしまうかのにおわせが上手く、次がものすごく気になります。ついつい買ってあった2巻3巻のあらすじを先に読んでしまうほどに。

みをつくし料理帖の澪ちゃんの時も、澪ちゃんが目も当てられないくらいかわいそうな目にあいつつも、本人の才能と忍耐強さで難を乗り越えていったので、今回の幸ちゃんも、同じように、しかし商いという別の世界でがんばっていくんだろうなと思いました。

女性が苦難を、自分の才覚と才能で乗り越えていく話が個人的にとても好きなので、この先もすごく楽しみです。

あと、時代小説の中でも、みをつくし、あきないシリーズを書かれる作者様の文体はとても読みやすく、専門用語等も簡単に調べられる範囲に抑えられわかりやすいので、時代小説を今まで読んだことがない!という人にも大変おすすめです。(私の時代小説デビューもみをつくしからでした)

読書はイラスト練習のお供にも最高なので、家にこもりがちな今の時期に一冊どうでしょうか。