イラスト向上のための読書1

以前の記事で、「小説を書いていたら絵が上手くなった話」を書かせていただきましたが、その中で、読書をしてもイラスト向上の一助になります。とも書きました。

小説を書くのはハードルが高くても、読書は本を開いて読むだけですので、こちらの方が取り組みやすいと思い、今回から定期的に「おすすめの書籍」紹介をしていきたいと思います。(読書が大好きなので、半分ほど趣味の取り組みです)

読解力は、幅広い解釈や視点を持つことで鍛えられると思いますので、色んなジャンルから面白かった小説を取り上げていきたいと思います。昨今のものから昔のもの、時代小説、ファンタジー等、お好きなジャンルの本を選んでお読みください。

※小説のネタバレがお好きでない方はご注意ください。

【高円寺純情商店街】
著:ねじめ正一

商店街で乾物屋を営む家族の一人息子、正一少年視点の物語。
かつをぶしを削るシーン始まるのですが、描写がリアルで美味しそう。
6章構成の連続した短編で、地の文にひらがなが多く、難しい漢字もほとんど出てこないので、大変読みやすいです。(昔、小説を書く時は小学生にも読める文章を書くのがプロだという記事を読んだのを思い出しました)大人らから学生さんまで楽しめる文体だと思います。
また、ページ数もさほど多くないので、小説を読みなれていない方にも優しい分量だと思います。

一文の書き方が綺麗な方だな。と思っていたのですが、あとがきによると筆者の方はプロの詩人の方らしく、詩の能力が小説の能力を助けているのだなと思いました。
また、あとがきにて、「詩を使う筋肉と散文を書く筋肉はちがう」と書かれていて、とても同感しました。以前の記事にも書きましたが、この考え方はイラストにも言えることだと思います。

個人的に特に面白かった話は、4章の「にぼしと口紅」です。
乾物屋のとなりに仮店舗として化粧品店が入り、そこで働く若くオシャレな女性たちが、商店街に活気を与えていく。という物語です。
地元密着、言い方を変えれば封鎖的な商店街で、一見異分子とも見える彼女たちですが、商店街の人たちに避けられることなく、また、商店街への献身的な行動をもって、商店街になくてはならないといった感じにまで溶け込んでいきます。

なかでも、商店街で暮らす女性たちへの気遣いが美しく、その気遣いの中で、商店街の女性が女性としての楽しさを思い出していく様も読んでいて楽しかったです。いくつになっても女の子だよね、というやつです。

また、個人的に、最後の商店街の店を一つ一つ紹介していくコーナーが面白かったです。全体的に大分皮肉めいている。それが人間味あふれていてとてもよかったです。

以上、書籍の紹介でした。
ぜひ、いつもとは違った目線のイラスト勉強として、ご参考いただければ幸いです。