漫画を描いていた時の話

それなりに絵が描けるようになってから、漫画を描くのにも挑戦してみようと思い、しばらく漫画を描いていた時期がありました。

その時に驚いたのが、イラストと漫画では全く勝手が違う、ということです。イラストは、好きなキャラクターを描いて、良い感じの背景をさくっと描き込めばそれなりのものになっていたのが、漫画だと、人物の立ち位置からパースを計算しないといけないし、人物の絵が次のコマに移動する際、その行動に沿っていないといけない。

さらに、コマの形や大きさはバラバラで、とにかく背景と人物の綺麗な表現方法が分からないなど、めちゃくちゃに躓きました。(コマの配置についてはその後研究し、別記事で簡単なやり方を紹介しているのでぜひご参考ください)。

また、話づくりもそれなりに難しかったです。私は趣味で小説も書いているので、話づくりにはそれなりに自信があったのですが(面白いかどうかはさておき)、漫画と小説では勝手が違い、小説で書く際の感覚を、漫画の尺に落とし込むのもむずかしかったです。(ものすごく楽しかったですが)

あと、漫画の背景パースというのがなかなか曲者で、3Dを勉強していたので時短のため、背景を3Dでまかなおうと思ったのですが、二点透視表現が3Dで再現することが難しく、これはしばらく大量の資料を読む羽目になりました。

最終的には、二点透視はXYZ軸の固定もしくは焦点距離の調整もしくは平行投影のカメラの設定で何とか再現できると分かりましたが、この理屈が難しくていまだに「絶対にこう」という答えが出ていません。精進したいところです。

一昔前は、これらの作業をすべて手書きで行い、また、その修正も調整も手で行っていたと思うと、ものすごい労力だと思いました。一人で描けるものではないので、組織で漫画を描くというのは理にかなっていると思います。

ただ、アナログ漫画表現は、見てそれと分かるくらいの綺麗さがあるので、個人的には大好きです。アナログインクやアナログトーンにしか出せない味わいがあるのだと思います。デジタルで表現できたら素敵なのですが、今の技量では難しいので、こちらも精進したいと思います。

イラストは描けても漫画は描けない。という言葉はよく聞きますが、実際自分で描いてみて確かに。と思いました。漫画の難易度は非常に高く、だからこそ、狭き門というか、ハードルが高いというか、それゆえにたくさんの人に愛されるツールなのだなと思いました。

また機会があったら挑戦してみたいです。